「今日はツーリングに行くぞ!」と意気込んで、朝早くから高速道路に乗り、何百キロも先の絶景を目指す……。大型バイクに乗っていた頃の私は、それが唯一の「正しいバイクの楽しみ方」だと思い込んでいました。
でも、小排気量バイクが教えてくれたのは、もっと身近で、もっと濃密な旅の形でした。
「目的地は隣町」でも、走り方次第で心は十分満たされる。今日はそんな、近場を120%楽しむためのヒントをお届けします。
「速度を落とす」と、景色が解像度を上げて動き出す
大型バイクでは気づかずに通り過ぎていた道端の景色が、時速40km前後で走る小排気量バイクの上では、まるで映画のワンシーンのように鮮明に見えてきます。
- 「あそこの家の庭、季節の花が綺麗だな」
- 「こんなところに、古びた、でも味のある橋があったんだ」
- 「漂ってくる沈丁花の香り、もう春なんだな」
速く走ることで得る高揚感もいいけれど、ゆっくり走ることで得る「発見」の喜び。
このクラスのバイクは、私たちを急かしません。「もっと周りを見てごらん」と語りかけてくれるような、穏やかなリズムが心地いいんです。
埼玉の「日常」を「非日常」に変える30分
たとえば、埼玉県内に点在する「荒川」や「入間川」の土手沿いの道。
主要なバイパスを一本外れて、川の流れに沿ってトコトコと走ってみてください。
そこにあるのは、どこまでも続く広い空と、季節ごとに色を変える草木。
わざわざ秩父や奥多摩まで行かなくても、家からわずか30分の場所に、こんなに静かで贅沢な時間が流れていたことに驚くはずです。
「今日はあそこの農協の直売所で、採れたてのイチゴを買って帰ろう」
そんな素朴な目的ひとつで、いつもの道が立派な「冒険のルート」に変わります。
「線」を楽しむ。地図を見ないという贅沢
大きなバイクだと、行き止まりや狭い道が怖くて、どうしても「確実なルート」を選びがちですよね。
でも、軽い相棒となら、あえて地図を見ずに「面白そうな角」を曲がってみるのが最高に楽しいんです。
「この先はどこに繋がっているんだろう?」
そんな好奇心のままにハンドルを切る。もし道が途切れていたら、ひょいと向きを変えて、また次の道へ。
この「迷うことすら楽しめる余裕」こそが、大人になった私たちが手に入れた、本当の意味での「旅」の醍醐味ではないでしょうか。
あなたの「鉄板お散歩ルート」はどこですか?
「片道30分で最高のリフレッシュができる、お気に入りの場所」「近所で見つけた、バイクを停めて眺めたくなる景色」など、皆さんの素敵な「ちいさな旅」のお話をぜひ教えてください。
有名な観光スポットでなくても大丈夫。あなたにとっての「いつもの場所」が、誰かにとっての「新しい発見」になるかもしれません。
遠くへ行くことだけが旅じゃない。
明日は、いつものヘルメットを被って、隣町の「まだ知らない角」を曲がってみませんか?
